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50 ハノン活用法(4)

前回はゆっくり弾く練習方法について書きましたが、今回はテンポを上げての練習について少し触れます。

かなり以前、ピアノの専門誌に書かれていた話ですが、とある著名なピアニストが留学先の先生に「何故そうゆっくりしたテンポでばかり練習するのか。この曲は本来速いテンポで弾くべき曲なのだから、どんどんそのテンポで練習しなければ」と言われて、はっとしたという話を目にし、それこそこちらがはっとした覚えがあります。

一般的にはややわかりにくい話かもしれませんが、曲を練習する際の基本はゆっくり丁寧にさらっていく、技術的に困難な箇所は特に、ゆったりとしたテンポで正確に弾けるようにし、それから次第にテンポを上げていくこと、これが基本です。
ことに、多くの日本人は真面目な性格そのままにそのような練習をこつこつと積み上げ、ミスタッチのない、ゆるぎなく確実な演奏を成し得てきたことと思います。

この「ゆっくり正確に」の練習は確かに必要です。速いテンポでばかり練習しがちな仕上げ段階にこそ、声部を分解したり、和声を取り出したりしながら、ゆっくり耳を傾けることもとても有効なのですが、必要以上にこの練習に時間をかけてしまうと、感性のマヒ状態とでも言うような状態に陥る恐れがあり、音楽的に見逃してしまうことが出てきます。

ゆっくり正確にということに集中すると、どうしても単一なタッチでの練習になりますから、微妙な音質の変化や曲の細かなニュアンスを聴く耳が働かず、仕上がった頃には大変丁寧で正確、誠実な姿勢の演奏ではあるけれど、全体に重たく平板で、いわゆるつまらない演奏になってしまいがちです。

そうならないためには、譜読みのミスをしないように注意しながらも、最初からある程度曲に適したテンポの中で、曲から発するニュアンスにも感性を働かせながら練習することが必要ではないでしょうか。きちんと音を間違いなく弾けてから、さて、もう少し曲の内容に適したタッチやテンポを改めて考えて、練習して・・というのはみずみずしい演奏への道のりという点でも、又練習時間の効率という点でも考えるべきところはあるはずです。

速いテンポの曲もある程度必要なテンポで弾けるだけの指さばきや手首や腕の自由な動きを身に付けておけば、練習の最初の段階から、音楽の微妙なニュアンスを感じ取りながら練習することも可能になります。必要なタッチを選び、より曲の本質に迫っていくことに気持ちも時間も集中できるでしょう。

と、前置き的な説明が長くなりましたが、要は指は速く動いた方が、動かないより絶対いいし、それには、ばしばしと速いテンポの練習を数多くこなした方がいいよ、ということです。

ハノンの場合、前半部分には両手の5本の指を使った様々な音型が31種類提示されているわけですから、量を加減しながら自分にやれるだけのことを選択し、積み重ねを作るには十分な譜が用意されています。

速いテンポでの練習は、弾きやすいテンポから始めて、目標のテンポに慣れるまでは腕に負担のかからない軽いタッチで繰り返し弾くこと。メトロノームを使って一定のテンポを保ちながら、ある程度の数を通して弾く事。

例えば1番から5番までをハノンの指定の最高108のテンポを目標に楽に通して弾けるまで繰り返すこと。勿論20番までイッキにいけるような方なら、さらに又、移調しながら通すこと。
ハノンを使ってよくほぐれた動く指を獲得するには、基本的には速いテンポで何番でも続けて通せるよう、沢山の量を弾く事をお薦めします。

と、ハノンに関わるお話は尽きず、このたった4回の内容に関しても補足したいこと、書き足りないこと、勿論まだまだ書きたいことは山ほどあります。
というわけで、今回はこれにておしまいとさせていただきます。
ご質問等ありましたら、何なりとお寄せください。

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