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48 ハノン活用法(2)

前回に引き続いて。
社会人のピアノ愛好者の方へのレッスンでは、ほぼ必修でハノンを使うのですが、さてその理由はいかに。教える側としてはこう考えてのことなのですが。

本業の仕事の忙しい合間を縫って、好きなピアノを弾いていきたい。しかもちょっとやそっとといわず、昔とった杵柄に更に磨きをかけて、ショパンだったらバラードが弾きたい、スケルツォが弾きたい・・いや、そうまで言わずとも、何か良い曲をちゃんと弾きたい。
となると、その曲だけをさらっていてもどうしても単純に指まわりが追いつかない、豊かな響きを出したいけれど和音を掴むのも手が広がらず掴めない・・・等、やはりテクニック的な問題は出てきます。

曲中のそういった難所を取り出して、リズムを変えたり、負荷を加えたりしながら繰り返し練習することは確かに大変有効で、曲を丁寧に仕上げるためには必要です。が、それにはやはり問題もあり、又、上達には限界があります。

私自身、いわゆる「曲を使って練習」することに時間をかけていた時期もあったのですが、熱心にそれをすればするほど音楽的に硬直してしまい、そのフレーズの持ってる音楽が新鮮に感じられなくなってしまう恐れがあることに身を持って気がつきました。

又、パッセージを取り出して練習しても全体を通すとどうしても上手く弾けないこともあるものです。難所は難所だけ独立してそこにあるのではなく、あくまでも前後のフレーズの流れの中で音楽的に処理されなければならなものです。
そうすると、部分練習だけ繰り返ししていても、長いフレーズ全体を処理し、一曲を弾ききるには、五本の指全てが有機的につながりながら自由に使えること、持久力、敏捷性など、総合的な「基礎体力」をつけていくことが曲を仕上げていくためにやはり必要です。急がば回れ。曲を弾きたいなら、やはり基礎体力作りからと考えて、です。

基礎体力をつけるために何か指のための訓練のメソッドをという場合、ハノンは、初めから両手の五本の指全てを満遍なく動かすように作られていることが大きい利点としてあげられるでしょう。
単純にハノンの楽譜に書かれてる音を出すだけでも、演奏に必要な自然な体の状態を保ちながら、古典やロマン派のなじみのある曲でよく使われる鍵盤の範囲を弾くように作られています。それをどういう風に練習し、演奏に役立てていくかは指導者や、使う側の工夫次第ですが。

大人になって改めてピアノに向かった時、悔しいかな体も頭も硬直化・・・は避けられないものです。子供の頃ハノンをなんとなく弾いた経験のある人にとっては、再びそれを使うことは、馴染みもあり、とっつきやすいものでしょう。
既に知っているものを繰り返して使うことは、前に弾いた時と比べて、今(或いは今日)の自分がどんな状態なのかを知り、練習の量や内容の目安を考えやすいものです。
又、初めて使う人にとっても、特に前半31番までに関しては、単純な音型の繰り返しであるため、譜読みに必要な時間も要らず、音を覚えるという段階でつまずいて苦労することもないでしょう。

次回はもう少し具体的な練習について触れる予定です。

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