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45 くにちゃんのバレエ教室

年末のあわただしさの中、掃除機をがあがあいわせて狭い畳の部屋をぐるぐる歩きまわりながら、ふと思い出したことがありました。
子供の頃バレエは憧れだったとは既に書いたとおりですが、そうでした、バレエは習ったことがないながらも「くにちゃんのバレエ教室」にしばらく通っていたことがあったのです。

昭和40年代も初め頃の地方の小都市でのことですから、今思うと音楽もバレエも本当に刺激が少なく、中でも特にバレエに関しては音楽以上に情報は少なかったものです。
私の通っていた公立小学校のクラスでも、ピアノなど音楽のレッスンを受けている人は企業の音楽教室の進出と共に相当数にのぼり、学校の中でも器楽合奏のサークル活動など活発でした。が、バレエとなると習っていた友人を思い出そうとしても、ごく限られた人だけです。

そんな中、近所にバレエを習ってるお姉さんがいたのです。そのすらりと背の高い印象の3才くらい年上のお姉さんには、バレエをやってるんだ!トゥシューズで立てるんだ、すごい!・・と、子供心にも恐れ多いような思いを抱きつつ、家に時折遊びに行ったものです。

多分、今思うとそれはままごとや学校ごっこの延長線、お父さんお母さん子供の代わりに、バレエの先生と生徒の役割を演じる「バレエごっこ」といった遊びなのです。
でも、なにせこちらはチャイコフスキーのレコードにくっついてるような写真や漫画でしか知らない、未知にして憧れの世界。そんな世界を知ってるかもしれない、いえ、そんな世界にいるんだと思い込んで接してるそのお姉さんとの遊びは、私としてはかなり気合が入り、最大限の集中力を動員して本気で遊んだはず。

6畳ほどの畳のレッスン室(!)に「生徒」が3人ほどもいたでしょうか、先生はもちろん、くにちゃん。ハイ、じゃあアラベスク!ハイ、これは悲しい時のポーズ、とかなんとかくにちゃん先生のご指導があったでしょうか。確か本格的に?曜日と時間も決めてよろしくお願いしますと言わんばかりにやっていたような気がします。

何が楽しかったかといえば、見聞きするクラシックバレエの動きをそれらしく真似我ながらうっとり・・の境地に至ること。
狭い畳の部屋をたたた・・かどうかははなはだ疑問ですが、とにかく爪先立ちで動き回って、自由気ままに、好きなポーズを考えてはぴたりときめたつもりになる。
手や足のポジションなども「くにちゃん先生」のご指導があったような記憶も微かにありますが、くっきりと記憶に残る楽しさはうっとりとポーズをきめちゃうこと。

生来ナルシストなのか?我ながら、と言うより我以外にはうっとりするはずはないそのバレリーナ遊びは大好きな本を読んだり、ふらふら歩き回っては探偵ごっこをすること以上に、すごく楽しかったものです。しかもポーズをとったところを、なんとなくお友達もくにちゃん先生も誉めてくれるような気がし、嬉しかったものです。

さて、音楽はなにか使ったでしょうか・・。その時は残念ながら曲をかけたりと言うことはなかったでしょう。タ〜リラリラ〜など、口三味線だったでしょうか。でも、もしもその場にピアノや、小さな鍵盤楽器があれば、ひょっとしたら即興の踊りにあわせて小学校3年生のにわかバレエピアニストさんが誕生、手からでまかせにでも弾いていたかも・・。

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