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19 紅茶のひととき

リズム、メロディ、ハーモニーと少しお勉強的な話が続きましたのでここらでちょっと一息。

しばし一息入れる時「お茶にしましょう」といいます。午前中なら10時にちょっと、午後なら3時のおやつ。このほっと一息タイムのお伴に日本人なら誰もが思い浮かべる定番といえば緑茶に羊羹。これはやはり虎屋です。
それからもうひとつはカステラ。こちらはやはりオッフェンバックの「天国と地獄」にのってフレンチカンカンを踊りまくるクマさん達でお馴染み文明堂でいきたいものです。おやつの王道を行く優等生、伝統的保守正統派です。
一方、濃い目に入れた番茶に醤油せんべいをばりばりとというのもすっきりしゃっきりします。歯の丈夫さを確認したい人はやはりりんごのまるかじりか、おせんべいをばりんといくかです。その他にも甘納豆,みたらし団子、水羊羹にきんつば・・・。ああ、こう書き並べるだけで自然にほっぺたの内側からじゅわっ・・・ごっくん。

とお茶飲みばあさんぶりならぬ、主客転倒お茶請けばあさんぶりをご披露してしまいました。なにせ辛口の冷酒にあんこもオツなものというくらいの両党使いです・・・。結構いけます、この組み合わせ・・・と、大きく脱線しそうなのでこちらの方はまたいずれということに。
さて、お茶の話でもうひとつ個人的にどうしても欠かせないのが、ダージリンやらアールグレイといった紅茶です。あーだこーだのこだわりなどなく、日常的にカプカプとアールグレイをたっぷり何杯も飲んでしまうのが私流です。でも、それこそお茶でもすすりながらふと思い出すのが子供の頃大好きだった甘い甘いミルクティ。

紅茶についての知識も今ほど広まっていなかった頃、ポットに人数分のお茶の葉を入れ、そしてポットのためにもう1杯なんていう話もなかった子供の頃、家で紅茶を手軽に飲む時は茶漉しに紅茶の葉を直接入れてティーカップの上にかまえ、そうしてそこにしゅんしゅん言ってるやかんの熱い沸かしたてのお湯を注いでいました。ペーパーフィルターなどを使ってコーヒーを入れる要領です。もっと簡単にいれられるティーパックが広まったのはそうやって入れて飲んでいたそのまた後のこと。

土曜の午後、お腹をすかして学校から帰ると、ほとんどお決まりの昼食がこうして茶漉しで入れた熱い紅茶にカリカリのトーストでした。
琥珀色に注がれ、湯気と香りの立つカップの底にお茶の葉が少し沈んでいるような濃いめの紅茶。お砂糖をスプーンに2杯ほども入れたでしょうか。今となってはちょっと甘ったるいくらい。そしてそこにほんの少し、牛乳を注ぎます。ミルクをカップに入れたその瞬間を逃さず覗き込むのが子供心に1杯の紅茶を堪能するがための醍醐味と心得て。なんとドキドキとときめく瞬間だったでしょう。

ミルクを注ぐと一瞬にして、カップの中にはもくもくと雲が湧き上がるような風景がぱあっと広がります。紅茶の琥珀色とミルクの乳白色が混ざりあうときです。時間にして何秒でもないのですがもくもくと湧き上がった雲がやがてその形をとどめることもなくすっきりと紅茶に混ざり合って溶けていく・・それを見つめてカップを覗き込む子供の頃のひとときは今言葉にすると愛おしいとも想えるようなゆったりしたあたたかな時間です。

そうしていれられたお昼の甘いミルクティにはバターをしっかりたっぷり塗ったこんがりきつね色に焼けたトーストがお約束でした。ここからが肝心なのです。このシンプルな組み合わせをさらに贅沢に味わい尽くすための秘儀秘伝、実は密やかなる禁断の快楽が待ち受けているのです。紅茶とパンをひとつの舞台の上に乗せ、芸術的味わいにまで高めた(?)少女の飽くなき美食追求の姿勢から生まれたその秘伝とは?

ひたひた・・・トーストの端っこを少しちぎって、ひたひたと・・・。お行儀が悪いと叱られそうなのを覚悟でこっそり言っちゃうと、そうです、カップの中で猫の毛並のように見える薄茶色の甘いミルクティにちぎったパンをそおっと浸すのです。特にそう、耳です。パンの固い耳に柔らかいふわふわの白い部分がくっついてるぐらいに優しく引っ張ってちぎり、それをカップの中の紅茶にそおっと浸すのです。で、その紅茶がたっぷりしみ込んでぐしゅぐしゅっと柔らかくなったパンを口の中に入れると・・・・。 子供の頃の甘い思い出。

さて、一番最近の美味しかった紅茶。つい数日前、今も香りを思い出せるほど美味しかったのはバレエの試験のためにピアノを数時間続けて弾かなければならなかったその日、ブレイクタイムに入れていただいたきりりと熱くてほど良い苦さ、ストレートで味わった紅茶です。

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