稽古場のピアノ バレエピアニストの世界 WEBサイト
ご使用中のブラウザのJavaScriptをONの状態に設定してください。
稽古場のピアノ
ブログ稽古場エッセイピアノ教室リサイタルお役立ち情報

プロフィールリンクお問い合わせホーム

ホーム > 稽古場エッセイ > 過去の記事リスト > 過去の記事

稽古場エッセイ 過去の記事過去の記事リストへ戻る

16 基本のき (1)リズム

前回書いたようにバレエピアニストと一口に言ってもまあその生態は実にこれ様々なのです。
演奏スタイルにも多種多様それぞれの個性があるものですが、とは言えその異なる個性の中にも共通して守られているはずの暗黙のお約束ごとがあるはずです。言うなれば音楽の「基本のき」といったところ。

音楽の成り立ちを少し細かく分解してみます。リズム、メロディー、ハーモニー、そしてテンポ、ダイナミックス(音楽的な強弱の幅)、音色、フレーズ。
もっとリズミカルに!もっと歌って!・・・とは言いますが、バレエの稽古場で使われる曲やその演奏にこういった音楽の基本要素はどういう具合に使われ、生かされるのでしょう。ちょっと具体的に例をあげながら探っていきましょう。

リズム
これはもう改めていうまでもなくバレエの動きを練習するには欠かせない最も大切な要素です。
もし、音楽の構成要素をばらばらにほぐして、その中からどれかひとつだけに限って無人島に持って行けるならバレエの人間はリズムを選んで持って行く・・?かどうかはわかりませんが、動きと音楽との一番密着してる接点はリズムではないでしょうか。ついでにさらなる偏見をお許しいただいて言わせてもらうなら無人島への鞄には声楽家はメロディーを大切に詰め込み、ピアニストはといえば・・・全部持っていくのよっ!と言い張る・・・。

と、横道にそれましたが、リズムのお話。

下に引用したこの譜例、プチ・ルチレのための曲です。右手で弾かれる旋律は♪タラッタッター・タラッタッターという至極軽やかで明快なリズムです。 1と2と・・という単純な2拍子のポルカです。


RAD Major Examination Syllabus より

楽譜に明るいバレエの関係者の方、中でも特にこういった舞曲のリズムを好んで稽古場で使われてる方は最初の2小節、スタッカートのついたイントロダクションの部分を見ただけで、プレパレーション、右手のタラッ・・のリズムが目に飛び込んだ瞬間足がすっと動くことでしょう。
この、タラッ・・・の部分がおそらく足を動かす勢いを助け、ターと付点8分音符で伸ばされた音が落ち着きと、次への動きを誘い・・・・・。
この右手8分音符の部分をスタッカートで弾くと、もっと軽やかで、バットマン・フラッペ、プチ・シャンジュマンなど様々に使える曲と思います。単純なリズムの繰り返しを生かして動きを助けていく曲です。

バレエの基本ステップを知らない方でもこの曲を聞きながら自分の足を音楽に合わせて前に後ろに、ちょっと挙げて・・などなど自由にそして規則性を持って動かしてみるのはそう難しいことではないと思います。まず、一人でこっそり・・・どうぞ。

勿論、この曲の場合はリズムに加え、アウフタクトの高いH(シ)の音が生かされた一癖あるユーモラスな旋律が(好き好きはありましょうが・・・)躍動感をおおいに助けることでしょう。又、譜例にはありませんが、この曲は8小節目にはト長調から変ロ長調への眩暈のしそうな楽しい転調が待っていてピアニストを飽きさせません。

ではもうひとつ、リズムが生かされた譜例を。


RAD Grades Examinations Syllabus Grades4 より

伴奏型は単純な3拍子のきざみですが、2小節単位でとられる右手のタタタ/ターンタタタ/ターンの大きく揺れるようなリズムが足をぐいっとあげるダイナミックな動きを助けるでしょう。
この曲の場合は伴奏のバスの音がオクターブ、若しくはうんと低い音でとられることで重厚感を出せますし、上下に行ったり来たりする旋律の音型が足の上げ下げの動きそのものをあらわすように作られています。なかなか格好いい曲です。

この場合、リズムを正確に弾くといっても大切なのはメトロノームに一音ずつきっちり当てはまるような弾き方ではなく、8分音符で表される推進力をいかに出すかということに神経を使って弾かれるべきでしょう。次の動きを導くようなニュアンスを優先させた弾き方を工夫し、揺れる感じを上手く出しながら弾くと気持ちよく、又込めるべき力をきちんと使って練習してもらえるのではないでしょうか。

ただし、一般のバレエのクラスでこの曲を使う場合、場合によってはリズムだけはしっかり生かし、ダイナミックさはやや失われても・・という選択のもと、バスの音は弾きやすい範囲にアレンジして弾いてもよろしいかと。

ページトップへもどる


Copyright (C) 2001-2009 Hisari-Isoyama. All Rights Reserved.